ウサギの道を追いかけて

あれからあの二人はすごかった。
なんの知識もない私に、シフト後みっちりTRIGGERが如何に素晴らしいか語ってきた。
まあ、私も何も知らない、って言ったら語弊あるんだけど。デビュー曲?の時にテレビ見て天が映ってるの見てからはテレビ自体見てないんだけど。
エロエロビーストの十龍之介さん。抱かれたい男No.1の八乙女楽さん。そして、九条天。
天は天使、そう強く訴える二人に、苦笑しかでなかった。
確かにあの完成された姿は天使に見えるかもしれない。
でも、私には、あの頃が一番だったんだ。陸の隣で一緒に天を見て、笑顔になって毎日が楽しくて。
そう思うと胸がツキン、と痛くなった。


「ね、藤堂さんは誰推し?」


「え、あー…」


正直に言えばやっぱり天が未だに一番なんだけどなんだか悔しくて八乙女さんを指さした。


「楽かー!私藤堂さんは天くんだと思ってたんだけどなー」


「わかるー!なんか正統派アイドル好きそうな感じしたんだけどなあ」


「あ、あはははは…」


乾いた笑いしか出なかった。その通りだから。
天は今では皆のアイドルなんだ。過去に捕らわれてたらダメなんだ。
八乙女さんも好みって言ったら好みだし、うん。嘘は言ってない。はず。


「でもこれでライブの予習はばっちりだね!」


「そうだねー!あー、早くライブの日にならないかなー!」


楽しそうな二人を見て私もだんだん楽しみになってきた。


―――少し、近づけた気がした。


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