ある提案





「ありがとうございました〜〜!!」


いつもよりテンションの高い同僚の声に、少し笑う。


「あー!ほんとかっこよかったぁぁ〜〜…」


「ね!ほんとこのコンビニにしたかいあったっていうかー!」


キャッキャと話す二人を見て、そんなに有名なアイドルなのか、と思った。


「あ、そういえば、天くん、藤堂さんの名前呼んでなかった?」


「…気のせいじゃないですか?」


「そうかなぁ…あー!でもほんと八乙女事務所の近くで働いててよかった!」


「八乙女事務所?」


「藤堂さん知らないの!?ここの裏、八乙女事務所だよ!TRIGGERの所属事務所!」


「え、あの無駄に胡散臭いビル?」


「「豪華な!事務所でしょ!」」


「…あ、はい」


力強い二人に押される感じで頷いた。
そうか、そんな近くに天はいたんだ。知らなかった。


「もう!ほんとに藤堂さんは知らないんだね…」


呆れられたけど、ほんとに興味がないので仕方がない。


「あ、今度TRIGGERのライブ!チケット余ってたじゃん?藤堂さん行こうよ!」


「え、あ、私は…」


「「行くの!」」


「あ…はい…」


なんで今日のこの二人はこんなにも強いのだろうか…。またしても押される感じで頷いた。


…それにしても天のライブか。複雑。


私は、その天をまっすぐ見れるのだろうか。
今まで背けてたものを、見て、感じて、そして私は何を思うんだろう。


――やっぱり遠い。




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