そのろく
陸を連れて皆のところに戻る。
彼の顔は決意をしたような顔をしていて、これから先この子は努力で壁を乗り越えていかなくちゃいけないんだな、って実感した。
「はーい、じゃあさっきも言ったけど、振付師の轟かなめです。芸歴はちょっとだけ長いです。気軽にかなめって呼んでくれていいよ」
「ちょっとだけって…ジュニアのころから世界大会に出てるようなダンサーが何を言ってんだ」
「世界大会!?」
「大和、それとこれとは別なのだよ」
ちっちゃい子が驚いたように大きな声を出せば、他のメンバーも驚いた顔をしてた。
「まあ今回はアイドルの振付、っていう私からしたら凄く未知の領域に挑戦するので皆と同じ卵の状態からスタートです。よろしく」
「ワタシは六弥ナギ、レディにレッスンしてもらえるなんてとてもハッピーデス。ヨロシクかなめ」
「逢坂壮五です。よろしくお願いします」
「四葉、環。ねーかなめ、なんかお菓子、持ってない?」
金髪のナギ、おとなしそうな壮五、大きい環…って。
「環は大きい子供だね。持ってないよ」
「子供じゃない。もう17だし」
「え、一個しか変わんないじゃん」
「え!?」
私の返答に何人か驚く。
「大和さんと幼馴染っていうから、てっきり大和さんと同い年だと思ってた」
「やだ陸には私がそんなに大人っぽいお姉さんに見えたかな?」
「いや、まあ、俺と同い年っては見えないかな」
「陸は年相応の顔してるよね」
あはは、って笑えば陸も笑ってくれた。
「俺は和泉三月!で、こっちが」
「和泉一織です」
「おっけー、三月と一織ね。2人は兄弟?」
「おう!」
「じゃあ三月がお兄さんなんだね」
「……よく、わかりましたね」
「あはは!三月の方がしっかりしてるじゃん!それくらいわかるよ」
そうやって言えばなんだか少し複雑そうな顔をした一織と笑う三月。
自己紹介も済んで、皆で和気藹々としてると複雑そうな顔をした紡さんが帰ってきた。
「どうしたの、マネージャー」
紡さんが戻ってきたことに気づいた陸が声をかける。
「あの、皆さんにお伝えしなきゃならないことが…」
神妙な顔持ちで紡さんは言葉を紡いだ。
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