そのに
大神さんと紡さんと話していたらボールがこっちまで転がってきた。
「はあ、はあ……っ、すいません」
「い、いえ……。どうぞ」
拾った紡さんがボールを渡す。
「ありがとうございます!」
そう言った彼はすごくまっすぐで、こっちの心が動かされる。
「応援しています。頑張ってください!」
「はい!」
紡さんの言葉に頷く彼に私も応援したい気持ちになる。
「ふふ……。応援したくなる子たちでしょ、彼らは」
大神さんが自信持ってそう言う。
「皆、いい目してます」
「そうでしょう!」
自信満々、っていう顔をする大神さん。
でも、
「あの子、大丈夫かな」
ぼそり、そう呟いた。
バスケットボールはハードなスポーツだ。
それでも、3on3で彼だけ息が異様に荒れてる。
もし、このまま彼がアイドルとして活動していくのなら、体力がない、というのは大きなウィークポイントだ。
アイドルは何分体力勝負、な面もちょくちょく現れる。
それは番組収録だったり、ロングラン公演だったり。
朝夕2回公演を3日、なんてアイドルもいるぐらいだ。それを考えると体力をつけなければならない。
「まあ、追々でいいか」
そんな暢気に考えていた。
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