そのいち

社長に言われた通り、そのアイドルたちがいるという別のレッスン室へと向かう。
そこには


「バスケ?」


なぜかバスケをしている6人の男たちがいた。
踊ってるとか、歌ってるとかそんなんじゃなくて、バスケ。


「なんで…って、あ」


室内を見回していたら審判をしている、二階堂大和さんと目が合った。


「おー」


手を上げて挨拶する彼に手を上げて返す。
前に面識がある彼は、このメンバーの中で唯一の顔見知りだった。


「ちょっと、なんでバスケやってんのよ」


「大神さんに言われて、な」


「は?」


思いっきり間抜け面で返せば、くっと笑う。
そのときだった。


「大和くーん!どっちが勝ってる?」


入口のところで事務の大神さんが横にふわふわとした可愛らしい女性を連れて現れた。


「ええ?えーと、赤チームが白チームに1ゴール差かな」


普通に答える大和さん。
隣の人とか、気になんないのかな。


「ま、説明はあるでしょ」


ぽんぽん、と私の頭を撫でる大和さん。
こうやって時折お兄さんの顔をして接するあたり私のことはまだ子ども扱いのようだ。
もう今年で19になるんですけど。お兄さんからしたら子供ってことですかね。


大神さんが隣の女性に大和さんの説明をする。
って、よく見たら社長の娘さんじゃん。


「審判なら楽できると思ったのに。こいつらの試合、体が一個じゃ足りないよ」


そう言って肩を落とす大和さん。
こういう仕草が、おじさんくさい。


「なにかな、かなめ」


「何でもないです、大和さん」


こういう時の感の良さはほんとやめてほしい。


「あーストップ、ストップ!トラベリング!」


そう言いながらゲームの方に戻る。


「ってあれ、かなめちゃんじゃないか」


「大神さん、お久しぶりです。あと、社長の娘さん、ですよね?」


「あ、はい!小鳥遊紡です」


「かなめちゃん、紡さんは今日からこのユニットのマネージャーさんなんだ」


「へえ。あ、振付師?になる予定の轟かなめです。交流深めるために曲とか決まるまでお世話になると思います」
「はい!よろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


紡さん、いい人そうでよかった。

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