そのじゅう
早足で向かうレッスン室までの道すがら、結果が書かれているであろうバインダーを紡さんは見せてくれなかった。
「意地悪だなあ!」
「お楽しみですってば」
そう言って、レッスン室の扉を開いた。
「……っ、お待たせしてすみません!オーディションの結果が出ました!」
急いで皆に伝えようと、最後は駆け足のようにしてレッスン室に飛び込んだ。
「あ……。マネージャー……」
「……っ、気持ちの準備はしてる!ずばっと伝えてくれ!」
「俺、合格した?」
陸が不安そうに、三月が覚悟を決めた顔で、環が詰め寄る感じでこちらに反応を示す。
「タマはがっつきすぎな」
大和が私の代弁をしてくれた。たぶん大和もそう思ったからだろうけど。
「選ばれるのは3人、だったよね」
壮五が確認してくるのに、私はうんうんと頷いた。
「どうぞ。お話しください。結果如何では社長とお話がありますので」
「プリーズ、マイガール」
一織は厳しく、ナギが優しく問いかける。
「それではお伝えします!厳正なる審査の結果!オーディションに合格した方は……」
私たちは固唾を飲んで紡さんの次の言葉を待った。
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