雛鳥たち | ナノ

 出会いの季節

入学。入学!
大好きなお兄ちゃんがいる高校に無事入学して私は今感動している。
新山女子から来ていた推薦を蹴って、私はここ、烏野高校バレー部に尽くすって決めたんだ。


「よっし!」


ふんぬ!とほっぺを叩いて入部届けを片手に歩く。
途中マネージャーに誘われたり、女子部の勧誘受けたりしたけどそれを申し訳なく思いながら断って進んでいた。


「あれ、楓ちゃん?」


「道宮さん!」


お兄ちゃんと同級生で、すごく面倒見がいい道宮さんが私を見てびっくりした顔している。



「あれ、新山女子に行かなかったの?」


「はい!お兄ちゃんとバレーしたくて!」


「女子部に入部は…ないんだね」


「あ、ごめんなさい」


がばり、と頭を下げれば、いいのいいの!って言って手を左右に振る。


「マネージャー、頑張ってね」


「はい!ありがとうございます!」


にこやかに手を振ってくれる道宮さんにお辞儀をして、男子が使ってる第二体育館に向かった。
そこからすでにボールの跳ねる音がする。もう誰かいるのかな。練習してるのかな。
はやる気持ちを抑えきれず、私は走り出した。


そこにいたのは、私たちの年代では知らない人がいないレベルで有名な『コート上の王様』影山飛雄。そのサーブはレベルが高く、私は荷物を投げ捨て、相手コートに入りレシーブを返す。


「いったぁ…」


さすが男子。威力強い…。女子とはレベルが違う。


「だ、大丈夫…ですか?!」


「大丈夫ですー慣れてます」


そう言ってVサインをすれば、ホッと顔をする。


「サーブ練付き合うよ」


「…うっす」



本数を重ねるたびに私も威力に慣れ(それでも痛い)いいレシーブが何本か上がるようになってきた、その時。


「なんで居る!?」


ビシィッと影山くんを指さしながらびっくりした顔をするオレンジ色の頭をした小柄の男の子がいた。




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