花巻くんと仲間たち
「それでそれでー、マッキーは名前が気になるのー?」
「は?花巻苗字さん好きなの?」
興味津々、という様子の及川と驚いた様子の松川。それに興味ない振りしながらも聞き耳を立てている岩泉。
「好きっていうか…なんか目が行っちゃうっていうか…」
「「ふぅ〜ん」」
ニヤニヤ、と笑う2人にめんどくさいことになった。と本気で思った。
「いやでもこの間まで名前と面識なさそうだったろ」
「この間及川のとこに来たとき見たのが始めてだよ…」
「それまで苗字さんを知らない方が俺はびっくりだよ…」
「俺も…」
少し呆れたように言う2人に、本当に知らなかったんだよ…と小さく呟く。
それでも、あの挨拶の時の握手の柔らかさ、部活中の凛とした姿、人懐っこそうな笑顔、それが全部脳内にこびりついたように離れないのは確かだった。
「それでー、マッキーはこれからどんなプランで行くの?」
「は?」
急な及川の問いに、ぽかんとアホ面をする。
「だってだって、相手は学園の人気者の苗字名前ちゃんだよ?狙ってる男は絶対多いわけじゃん?」
「それに空手部の部長とデキてるって噂もあるよネ」
「あー…」
あの主将くんか、と小さくごちる。
確かに同じ部活、同じ主将、何か関係があってもおかしくない。
それを思い出して少し落ち込む。
そのあと、落ち込んでる自分に少し驚いた。
やはり自分は、彼女に恋をしているのか、と思うほどに。
「よーっし!じゃあ及川さんがキューピットになっちゃおっかなー」
「よっしゃ、乗った!」
「お前ら名前に迷惑かけんなよ」
「いや、その前に俺にも迷惑かけんなよ…」