どっちが有名?
青葉城西高校の有名人といえば、男子バレー部の主将の及川徹。
それから、
「とーる!」
「名前じゃん!どうしたの」
「英和辞典持ってないかなって思って!」
「あー、ちょっとまって」
彼女、苗字名前。
「あったあった。はい、これ。明日使うからそれまでに返してねー」
「おっけー!…って上から押さえつけんな!巨人!」
「名前が小さいだけでしょ」
パタパタと腕を動かして及川が上から押さえつけてくる腕をどかそうとする。
その行動に免じて、解放すれば手を振って駆け出していく。
「え、及川って苗字さんと知り合いなの?」
「正確には俺と岩ちゃんね」
「中学からの仲だな」
「マジで…」
驚く花巻と松川。
彼女はいつでもハツラツとしていて誰とも分け隔てなく接することで有名だ。
可愛らしい容姿も相まって、青城の中で及川と同レベルで人気がある。
「あ、でも手を出したりしたら勝てない。というか容赦ない」
「平気で急所攻撃してくるしな」
「え」
意外そうな顔をして花巻は及川と岩泉を見る。
「あー、でもほら苗字さん部活が部活だし、そういうの詳しそう」
「え、松川、なんで苗字さんの部活知ってんの?」
「よく表彰されてるじゃん、あの子」
当たり前だろ、と言わんばかりの松川。
「あ、俺寝てるからわかんない」
「うちの子の晴れ姿ちゃんと見てて?!」
「その前に寝るな」