「はい、今から戻ります」
放課後、及川の付き添いで整形外科に来てる。
診察も終わり、コーチに連絡する。
及川の怪我も大した事なく、用心の為テーピングをしてもらい、今はもう精算待ちだ。
「ほんとごめんね…」
申し訳なさそうにする及川の頭を軽く叩く。
「それを言うならかわいいかわいい仲間たちに言いなさい」
そう言うとほぼ同時に及川が精算に呼ばれ、立ち上がった。
とっとと行ってこい、と背中を押してやれば、いつもよりちょっとだけ変な歩き方で進む。
まったくこの男は。
そう思いながら待った。
「お待たせ、名前」
「まったく。ほら、帰るよ」
ちょうどよく目の前に学校方面に向かうバスが停まる。
少し急ぎ気味で(でも及川の足を気にしながら)バス停まで行って乗り込んだ。
「今頃どうなってるかな。練習試合」
「及川さんがいないからってぐずぐずだったら怒る」
「大丈夫、うちのバレー部はお前がいなくても十分強いよ」
「あ、その一言及川さん傷ついた!」
「車内では騒がないの」
なんて軽口を叩きながら学校へと戻った。
気持ちは若干、なぜだか無性に、焦っていた。
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