最悪のお隣さん

席に着いて最初に思ったことは、コッペパンリーゼント野郎の隣である、ということ。
時代錯誤も甚だしいその姿に不快の溜息をこぼす。
1年生の最初の席は指定されている。だけれどもよりにもよってこいつの隣とは…。ほんと運のないことに自分を恨んだ。

向こうも不服のようでこれみよがしに聞こえる舌打ちに、私の不快指数は急上昇だ。その頭切り捨ててやろうか…!

まあ見た目で判断するのは良くない、いくらダサい頭だとしても、頭上にコッペパンがあって邪魔じゃないのかとかそんなんほっておいて、ほんとはいい奴なのかもしれない。
何せ私の友人には表情筋が固まってしまった天使がいるくらいだ。世の中わからない。
そして何より私は部活のためにここに通っているのだからこいつが私に私生活で迷惑かけなければどうでもいい。

入学式の後はホームルームが軽くあって自己紹介するだけだ。
順番も順当に回り、横の奴の名前が「荒北靖友」であることだけわかった。ほかの情報なんてなかった。名前を言い終わるとだるそうに音を立てて座った。
なんだろう、グレ方がすごく昭和…見た目からも感じ取れる昭和感…本当に同い年なのだろうか。

そんなことを考えていたら次は私の番、まあ見た目が見た目だから周りは奇妙なものを見るような目で見る。
そういうの、結構慣れてるんだよね。

「苗字名前。部活は自転車競技部のマネージャーです。よろしくお願いします」

普通の自己紹介をしたつもりだったが、周りには意外だったのか「えっ?」なんて聞き返す言葉も聞こえる。
私はこういう格好のほうが落ち着くだけで中途半端なギャル系の子たちと一緒にされたくない。なんて高飛車ぶってみる。

この高校の自転車競技部なんていえば強豪だ。
こんなのが入れるわけない、なんて空気流れてるけど春休みの時点で入部届は受理されてるし、何の問題もない。
先に紹介した天使ともう一人引っ付き虫ももうすでに入部してるから今日の放課後も顔を出すつもりだ。

早く放課後こないかな…。

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