龍哭 | ナノ





‖01



「やっほーてっちゃん!ちーちゃん!」

新しい校門をくぐり、走りながら私を置いていった白状者二人を、ちーちゃんは鞄で、てっちゃんはグーパンで背後から攻撃した。

「「う゛・・・・」」

「なんで置いて行っちゃったのさー!」

「…緋沙子が遅刻するからだろ」

「あいてっ!」

そう言い放ったてっちゃんこと【高岡哲生】は私に軽めのチョップをお見舞いしてきた。
哲生は結構腕っぷしに自信がある系男子だからそれすらも痛かった。

「俺より遅く起きるほうがワリーんだろ」

ちーちゃんこと【久遠愛】はそう口での暴力に私の心は折れそうだった。

「まー。これからまた一緒だし。仲良くしていこうね」

幼馴染パワーは偉大なのだ。なんて思いながら言えば私の思考はダダ漏れだったのかてっちゃんにうっすら笑われた。
確かに寝坊をしたけど、それは私が悪いんじゃなくて、私を起こすことができなかった目覚まし時計が悪いと思うんだ。

「クラス表見てきてよ、ちーちゃん」

「は!?なんで俺がそんなこと・・・」

「よろしくな、チカ」

「お前でも見やすいだろうが・・・・!!」

なんてなんだかんだ文句言いながらも見に行ってくれるちーちゃん。
頼まれたら断れないちーちゃんのそういうとこ好き。

私たち3人は所謂腐れ縁ってやつでてっちゃんとは生まれた時から、ちーちゃんもちっちゃい時から知ってるくらいの仲。
そういうメンバーだからこうやってふざけたこと言ってられるし、周りのばからしいちーちゃんへの言葉も私たちには関係のないことだった。

それに、私とちーちゃんは同じ目的をもってこの高校を選んだから。だから余計に周りのことなんて気にならない。

「おい・・・」

げっそりしたちーちゃんが戻ってきた。
その反応に、本当に私たちは腐れ縁らしい・・・。なんて笑えた。





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