テニス短編 | ナノ

 夢と現実の狭間

夢で終わらせたくない。夢なんかで終わらせたくない。
でも、夢でしか、ない。
いつか現実になるときは、あるんでしょうか…?

夢と現実の狭間


夢の中で隣に居る幼馴染、ざくろ。
もう何年の片思いになるだろう、絶対に報われない片思い。
なんでかって、アイツには彼氏が居て、スッゲェ幸せそう。
こういうとき、幼馴染って辛ぇな。


「岳人―、ざくろちゃん来てるわよー」


母さんの声で、時計を見る。
あぁ、もうそんな時間なんだなって思って急いで制服に着替え行く準備をした。




小さい頃からの習慣で、俺とざくろは毎朝一緒に登校する。
それは、こいつに彼氏が出来てからも変わらなくて、この時間だけは俺にとって特別な時間。
まるで、夢の中にいるかのような、そんな感覚。
今日も他愛ない話をして学校に向かう。
ちょっとのことで楽しそうに笑うざくろの笑顔に、つられて俺も笑ったりして、凄く幸せ。
…でも、この幸せもそう長くは続かない。


「おはようさん」


「あ、侑士」


下駄箱まで行くと、タイミングよく現れる侑士。…ざくろの彼氏。


「はよ、今日も早いな」


「岳人が遅いんやない」


なんて、俺に笑いかけてくれるから嫉妬とかしても、嫌いになれない引退してからも俺の相棒。



この二人を引き離すつもりはない。
でも、報われない思いに縛られて、如何しようもなくなるんだ。
この思い、告げられたら少しは変わるかな。
でも、そんな勇気、俺にはなくて、ただ二人の幸せ祈るだけ。
いつか、俺にもあいつらみたいな人に出会えるかな。
目の前で笑う愛しい人を見ながら、そう思った。

END

前サイトから転記




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