テニス短編 | ナノ

 姉さんと俺と犬と



「若?」


「あ、姉さん」


帰りのSHRも終わり、今まさに部活に行こうと、教室のドアからひょこっと顔を出した姉さん。


「SHR終わった?」


「はい、今終わりました」


心持嬉しくなって、姉ちゃんの傍に駆け寄った。


「……日吉…?」


恐る恐る…といった感じで声を掛けてきた鳳。通称、宍戸先輩の犬(向日先輩命名。あながち間違っていない)


「なんだ、鳳」


「え、あ…」


「見ての通り今忙しい。後にしてもらいたいのだが」


「あ、ごめん…」


軽く鳳をあしらっていると、制服の裾を姉さんに掴まれひっぱられた。


「若?その子お友達?」


「…はい」


「はじめまして。鳳長太郎と言います」


ただ部活が同じで、って言おうてしたのに、勝手に自己紹介する鳳。
…そんな笑顔クラスの女子にもしないだろ、お前。


「はじめまして、日吉ざくろです。よろしくね。鳳くん」


そう言って微笑んで、姉さんより背の高い鳳を見上げた。


「はい!!」


いつにも増して愛らしく言う鳳を、本当にシバこうか考えた。
その日、姉さんが鳳に興味を持ったんは言うまでもない。


そして、次の日。

「ねぇ、日吉」


登校してきて早々に鳳が俺の前に立った。


「…なんだ」


昨日のことを忘れたといったら嘘になるため、無意識に声は低かった。


「俺、お姉さんのこと好きになっちゃったみたい…」


「はぁっ!?」


少し頬を赤らめる鳳。…こいつ本気だ。
絶対犬になんか渡すわけにはいかないと、心に誓った。
お前は宍戸先輩のところにでも行ってろ!!

END
ごめんなさい、シスコンな日吉が書きたかっただけです。全力で謝罪します。
2011.12.02.




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