テニス短編 | ナノ

 Next Stage!

こんなにも、空は綺麗だったのだろうか。
ふ、と見上げた空は青く澄んでいてまるで私達を迎え入れるかのようだった。


「一緒、じゃな」


そう呟いた彼に私は頷きました。
言葉が出ないことに絶望を感じ。
大人たちの自分勝手な判断に嫌気がさしました。
それと同時に吐き気を催すような、汚らしさを感じました。
もう何もかもが嫌になり、唯一の彼の手を握りました。


『この世界から』


「この、世界から」


喉が空気を通すだけのような、そんな音しか出ないけれども、彼は私の手を強く握りました。


「逃亡する、唯一の手段」


未来のある貴方を共にする罪悪感を背負い、でも微笑んでくれる貴方を愛しました。


「次に出会うなら」


『願わくば』


「『何もしがらみのない世界へ』」


踏み出す足。
繋がれた手。
優しく、愛しい温もり。
落ちる、堕ちる。
聞こえる、高い声。


此処で私の記憶は途切れました。
紅い海の中、2人寄り添って場違いなほどの穏やかな笑みで。

End




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