テニス短編 | ナノ

 甘い甘いバレンタイン

甘い甘いバレンタイン

えぇ、そりゃぁもう

嫌味なぐらいに(ニヤ)



甘い甘いバレンタイン



ルンルン気分で学校の準備をする。
もちろん、鞄の中にはチョコレート。
綺麗にラッピングして、後は渡すだけ。


“ピンポーン”


準備を終え、バタバタと玄関に向かう。


「おはよ」


「おはよう」


ニコニコ笑いながら幼馴染の光ちゃんを見る。その笑顔を見て光ちゃんは少し引き気味のようだ。


「なんやねん、その気色悪い顔は」


「もともとこういう顔なんですー」


そう言いながらも凄く楽しい。こんな反応の光ちゃんはあんまり見れるもんじゃないからね。




「あ、そうだ光ちゃん」


ちょっと前を歩く光ちゃんの制服を掴んで、引っ張る。


「なんやねんな」


こっちに目を向けて返事する光ちゃん。


「今日は何の日でしょう?」


「……バレンタイン、やろ?」


「ピンポーン。正解者の光ちゃんにはこれをあげよう!!」


ガサゴソと鞄をあさり、用意していた袋をを渡した。




その袋を持ったまま暫し硬直の光ちゃん。
…学校に遅れちゃう…。


「……なぁ、ざくろ」


お、ようやく動いた。…足は動いてないけど。


「はい、なんでしょう」


学校に遅れるって言ってるでしょ!(※言ってません)


「これ、チから始まる甘ったるい食べ物やないやろな…?」


「光ちゃんの察しの通りチから始まる甘い食べ物だけど?」


恐る恐る、といった感じで言う亮ちゃんに、最上級の笑顔を向けて返した。


「俺、このあと学校で地獄が待っとるの知っとるやろう!?」


「いいじゃんたまには、恋人らしい行事に乗っても!!」


少し怒ったように言う光ちゃんに、ついつい私も喧嘩腰で返してしまった。




「他にも何かあったやろ?」


チョコ以外のお菓子を挙げていく光ちゃん。…そんなの作ったら焦げるに決まってるじゃん…


「愛のために頑張って食べる光ちゃんが見たかっただけじゃん!」


「……アホくさ」

そう言って切り捨てた光ちゃんに少しムカついた。


「いいもん!じゃぁ謙也先輩にあげるから!!」


今思い返せば、クリスマスも誕生日もろくなことしてない。
だから、せめてバレンタインだけでもって頑張ったのに。




光ちゃんに渡した袋を奪い返し、そのまま学校へと足を進めた。


「ちょ…誰も食べんとは言うてへんやろ(しかも何でそこで忍足先輩やねん)」


慌てて追いかけてきた光ちゃんを見て、少し可愛いと思ったのは秘密。
今は怒ってるんだからね。


「顔に食べたくないって思いっきり書いてあるもん」


「…そうかもしらんけど」


「ほら、やっぱりそうじゃん」


なんで、そこで嘘でも良いからそんなこと書いてないって言ってくれないかな…真面目に泣きそうなんだけど!


「ざくろが作ったんやろ?せやったら食べんわけないやん」


「…光ちゃん…」


まったく、こういうところで無駄に男前なんだから。
不覚にもキュンってして、足を止めてしまった。


「ほら、早よ寄越せや」

少し恥ずかしくなったのか、鼻を掻いたり、目を掻いたりしている。


「ん…はい」


再び光ちゃんに渡すと、少し照れながらボソッと


「ありがとうな」


不器用な二人だけど、これからもこんな感じで過ごせたらと思います。



END
2012.02.14.



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