テニス短編 | ナノ

 寒いから、暖めて

「さっむ!!」


本日12月24日は私の恋人、越前リョーマの誕生日。
東京で生活するリョーマの為に、わざわざアメリカから来たというのに…。


「何で誰も居ないのさ!!」


何度チャイムを鳴らしても、ちっとも開かないこの扉。
あいにく合鍵は持っていない(だって滅多に此処に来れないし、南次郎さんからもらっておけばよかった)
この季節に此処で待ち惚けは…な。


寒いから…暖めて




あれから数十分。
いっこうに帰ってくる気配がありません。
…連絡したらドッキリじゃなくなるしな。その前にあの子の携帯、携帯の意味が無いからな…。
あー寒い…コンビニで温かいの買ってくればよかった。
なんて後悔しながら、ドアの前に座って待つ。



くそー…寒さで眠くなってきたぞ…
でも此処で寝たら不審人物じゃないか…。
そう頭でわかりつつも、静かに目を閉じた。


「…っ!…ざくろっ!!」


思いっきり揺すられ、ドアに頭をぶつけた拍子に目を覚ました。


「った…」ぶつけた頭を摩りながら、揺すった相手を確認した。


「…リョーマ?」


「何此処で寝てんの」


たんたんと冷たく怒るリョーマ。
……別にそこまで怒らなくても良いじゃん…。



「とにかく、此処じゃあれだから、中入って」



リョーマに引きずられるようにして中に入った。




部屋中の暖房を付けてくれて、いい感じに部屋が温もった。…リョーマきっといい旦那になれるよ…。


「ねぇ、何してたの。あんなとこで」


「リョーマ、待ってた」


ソファーに座っているリョーマの横に座る(何気あったかい)


「来るなら来るって言っておけばよかったんじゃないの?今日誰も居ないんだけど」


「だってサプライズだもん。言っちゃったらサプライズじゃなくなるじゃん」


軽く擦り寄れば、肩に回るリョーマの腕。…うん、あったかい。


「ざくろ、すごく冷たいんだけど。どれくらい待ってたの?」


「……さぁ?」


そう答えたら、頭叩かれた。




「さぁ?じゃないでしょ。風邪引いたらどうするの」


「寝てたんだからわかるわけないでしょ!?」


「開き直んないでよ」


呆れたように言う彼に少し泣きそう。


「だって、リョーマ誕生日じゃん」


会いたかったんだもん。直接、おめでとうって言いたかったんだから。
軽く泣きそうになっていると、リョーマが抱きしめてくれた。


「泣くなって…」


「泣いてないし」


「泣きそうじゃん」


「誰のせいよ」


そう言うと、素直にごめんって言う。…謝られても困るけど…。


「今日桃先輩とかが祝ってくれて。まさか、ざくろが来るなんて思ってなかったから…ごめんな」


「……いいよ、別に。勝手に来たんだし」


ぎゅっと抱きしめると、強く抱きしめ返してくれた。




「リョーマ、寒い」


更に強く抱きしめると、信五は私の頭を撫でた。


「あんなところに居るからでしょ」


軽く口付けられ、私はその場にゆっくりと倒された。
これから先もこんなことあるかもしれないけれど。
その時はまた、こうやってあっためてね。


「誕生日おめでとう、リョーマ」


END

あとがき
え、ぎりぎりだよね。そうだよね。
とりあえず誕生日おめでとう!

2011.12.24.



prev|next

back

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -