勧誘という嵐
それから、しばらく麦わらの一味はその村に留まった。
物資調達、ももちろんだが船長であるルフィがゆーりの元へ毎晩あしげく通っているのが一番の理由だろう。
今日もまた公演が終わった彼女と店の裏で二人談笑をしていた。
「そんでさ!でっかい海王類が出てきて、バーンって!」
「海王類?」
この島から出たことないゆーりは聞いたことない言葉に首を傾げる。
「お前、海王類知らねえのか!?」
びっくりした表情をするルフィにこくこくと頷くゆーり。
「じゃあさ!じゃあさ!一緒に、船に乗らねーか!」
「船?」
その誘いに少し心が揺れる。
だけれど、ここまでわからないゆーりを面倒見てくれた今の酒場、この島は彼女にとって居心地がいいものだった。
その生活を捨てて、新しい旅に出る。
その葛藤に、挟まれる。
「ちょっと、考えさせてもらっていいかな」
「おう、いいぞ!」
ニッと笑うルフィに安心する。
すぐに答えを出さなきゃいけないかと思うほど真剣な眼差しで言われたものだから、彼女は少し気圧されていた部分もあった。
それからまた、ルフィの話に彼女は笑みを浮かべながら航海の話を聞いていた。
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