大きな想いで
好きだったころなんてもう忘れた。
でも、いつまで経ってもあなたは私の大事な人だよ。
大きな想いで
魔法薬学からの帰り道、女の子を追いかけている幼なじみを見かけた。
「よぉ、ぱふぇ」
…もちろん、それに付随する他のメンバーも。
「あれ、どうしたのシリウスくん」
「…いや、相変わらずだな」
にっこり、何も言わせないようにしながら微笑めば、距離を取るシリウス。
リーマスもピーターも苦笑しているくらいだ。
…あれ、そこまでしてないつもりなんだけどな…。
威嚇(?)するのをやめると、安堵した表情で再び近寄ってくるシリウス。
「あいつら、どう思うよ」
あいつら、というのは言わずもがな、ジェームズと、リリーのこと。
そして彼が聞きたいのはきっと、あの二人の今後。
「付き合うに1ガリオン」
「お!でかくでたな!!」
そういってニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべる。まったくもってイケメンが台無しだ。
「で、でも、いいの?ぱふぇはジェームズが…」
「えぇ、好きよ」
ピーターの問いに躊躇わずに答える。
だって、あんな幸せそうな二人をずっと見続けてきたのだから。
「でも、そうね…今はもう恋情とか、そういうのじゃないの。もっともっと…こう、深いところに私の想いがあるの」
もうとっくに“恋”なんてレベルではなくなってしまった。…というより、もともと、恋じゃなかったように思える。
“恋”と軽々しく名前をつけるには、重たすぎて、でもすっきりしている。
彼のあの表情が見れるなら、私にとってそれだけで満足なのだから。
「大人なんだね。ぱふぇは」
大人、なのかな。
でもたぶん、皆が思っているほど大人じゃないし、子供のような可愛げもない。
…なので。
「幼なじみとして、一肌脱いであげちゃいますか!」
「お、いいねぇ。そうこねぇとな!」
「「…フィルチに怒られないようにね…」」
さて、ほんとの結末が見れるのは。
ちょっとだけ先のお話。
今は君のために頑張るとしますか!
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