君に絆される
城の空気とあいまって、目の前の少女ぱふぇもどこかふわふわしていた。
彼女はスリザリンにしてはとても異色で、性格だけを見ればハッフルパフが一番妥当なように見える。
「こんなところにいたのかい?」
「あ、ベラトリックス先輩。おはようございます」
彼女はふわりと微笑み、ベラトリックス・ブラックに返事をする。
ベラトリックスは元より姉御肌なところがあるため、彼女のことを良く面倒見ているようだった。
「昨日は無事作れたのかい?あたしは料理がからっきしダメでね…」
「はい、ナルシッサ先輩に習いましたから大丈夫ですよ。…受け取ってくださるといいんですけど」
…一つ言わせてもらうなら、その貰い手は誰なんだ。
周りの男は自分かもしれないと身嗜みを整えたり、あのルシウス先輩までも…と、彼はいつも通りだった。いらぬ心配だったか。
「大丈夫さ!ぱふぇが愛情込めて作ったんだ。受け取らないバカはいないだろう?」
ベラトリックスがこちらにむかって嫌みな笑顔を浮かべる。
…ほんと、こういうところであの忌々しいブラックとよく似ている。
「え、あっ!」
ベラトリックスの視線に気付いたのか、ぱふぇと目が合う。
顔を赤くし、少し照れくさそうに笑う彼女は、贔屓目なしに可愛いと思う。
「あの、セブルスくん…!」
パタパタと音がしそうな走り方で此方に向かってくるぱふぇ。
「なんだ?」
「あの、これ…」
ダークグリーンにシルバーのリボン。
…どれだけスリザリンカラーを織り交ぜたんだ。ここはピンクとか赤とかだろ。
そう思ったら自然と笑みが浮かんだ。
「ああ、すまないな。ありがとう」
たまにはいいか、と思って素直に感謝を口にすれば、ぱふぇはもちろん、周りのスリザリン生も固まって魚のように口を開け閉めしている。
あのベラトリックスでさえも、目を見開いて固まっている。
「あとで、僕からプレゼントを渡すから、待っていろ」
そう言って頬に口付ければ、一気に顔が赤くなるぱふぇ。
思わず笑いがこぼれ、ぱふぇの頭を撫でてやり、自室へと戻った。
たまには、こんな日も良いのではないですかな?
君に絆される
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