甘い日

城中が、むせ返るほどの甘いにおいで埋め尽くされる。
今日はバレンタイン、という行事で、あちこちそっちこっちでいいともー!じゃなかった、女の子達がそわそわしている。

「…そんななかで、君はいつもどおりなんだね」


「あれ、こんなところで何をしてるんですか、ルーピン先生」


今年度から闇の魔術に対する防衛術の先生になったルーピン先生が何故かグリフィンドールの談話室に現れた。
先生のその柔和な表情と優しい物腰で人気が高い。
おかげでこの談話室もなんだか色めき立って騒がしくなってきた。


「もちろん、君から今日何かもらえないかと思ってね」


「手元にいっぱい持っているじゃないですか。人気者でよかったですね」


私とルーピン先生の間に、そんな桃色な空気はない。
叔父であるジェームズの友人、ということで毎年この時期には彼の好きなチョコを渡していただけで、唯の習慣である。


「ぱふぇ?ルーピン先生が困ってるよ」


「ハリーはルーピン先生に優しいよね、ぱふぇ妬いちゃう」


「いや、そんな冗談言ってる場合じゃないだろ」
ロンとハリーに言われて、少し居辛くなってきた。


「…はい」


手渡したら周りからの視線がキツくなったけど、いつものことだと割り切ってしまえば気にならなくなった。


「ふふ、ありがとう」


「どういたしまして」


満足そうに笑う叔父に頭を撫でられて少し顔が火照るのがわかる。


べ、別にアナタのためじゃないんだからね!
(今手出したら犯罪だからね)
(…ぱふぇをあまりいじめないでくださいね)
(わかっているよ、ハリー)


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