タンポポ

ふわふわの綿毛

風に吹かれて何処に行くの?

お願いだから、

あいつも一緒には

連レテ行カナイデ……

タンポポ


俺には、大事な彼女が居る。
いままでに、こんなに愛した女はいないってほど。


「ぱふぇ…平気か?」


「平気だよ、ごめんね。レギュラス」


「気にしなくていい。ほら、今日はもう休め」


ぱふぇは、何か難しい病らしい。
マグルの世界でも、魔法界でも手術をしても、成功する確率は極僅か。
神様が居るのなら、なんでこんな運命の道に彼女を選んだんだろう…。
日に日に痩せ細っていくぱふぇ。
最近ではスプーンを持つのも辛そうで…親の居ない彼女に俺は暇さえあれば会いに来た。
手術は彼女の希望により行わないことになっている。
だから…彼女の最期まで、俺は極力側に居ることを誓った。


でも、不意に訪れた、別れの時。
その日は我君の命により与えられた任務でどうしても外すことが出来なった。
任務も終え、少し複雑な感情が入り混じった気持ちの時、彼女の梟が、大慌てで飛んできた。
運んできたその手紙を見て、いやな予感がした…。

震える手で、羊皮紙を広げる。
こんなにも緊張したことが無い、って思えるほどに心臓は早鐘を打っていた。

その手紙は、俺の予感を的中した。
ぱふぇの様態の急変。俺は慌てて病院に向かった。


「ぱふぇ!!」


病室に飛び込めば、無機質な機械の音が部屋中に響いていた。
今にも崩れ落ちそうな俺の体に鞭打って、ぱふぇの側に行った。


「ぱふぇ…」


眠ってるんじゃないかと、思うぐらい綺麗な顔。
温もりのある肌。
唯、いつもと違うこと。
呼吸をしていない。心音が聞こえない。
もう、この目を開くことはない…。
もう、俺の名前を呼ぶことも…。


「っ――…!!」


声にならない悲しみ。
溢れる涙。
こんなにも、まだぱふぇのことを愛してるのに…。

END


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