重ならない、永久に
愛しています。
たとえアナタが私を見ていなくても。
出会いは多分入学式の日。
あの時にはもうすでに、リリー・エヴァンスとかいう女の隣にセブルスの姿はあった。
あの時、アナタの姿を見て一目で恋に落ちたの。
だからあの時、彼女とセブルスが別の寮になってくれて本当に嬉しかった。
「よろしくね。私はぱふぇ・いちご。あなたは?」
「…セブルス・スネイプ」
「セブルス、ね」
アナタの、セブルスの名前を聞いた時、私の運命の人はアナタだと確信したわ。
それくらい、私には衝撃的な出会いだった。
あれから、たくさんの月日が流れた。
同寮である私は彼と共にする時間が長かった。
多分、どの女の子とも。
それは私にとって優越感のような、そんな気持ちになれたの。
ホグワーツを卒業して、彼は闇の魔術にどっぷりつかって行ったわ。
勿論、私も彼について行ったの。
怖かった。
でも、セブルスがいれば、平気だと思えた。
――なのに、それなのに…。
私はセブルスのリリーに対する愛情の深さに気付くことはなかった。
彼が、ダンブルドアの元に行ってしまって、でも私はそんなこと、出来なかったから。
それは、私の任務が
「ポッターの家を殺しに行く。ついてこい」
「了解しました。ご主人様」
私が、アナタの愛した人を殺さなきゃならないから。
もう、アナタの顔を、見ることなんて、できない。
報われないことがどれだけ辛いか、知っているから。
愛してくれないことがいかに辛いか、知っているから。
…だから。
「Avada Kedavra」
泣きながら彼女に対して呪文を放つ。
ねぇ、ここにきっとアナタは現れるでしょう?
そして、私を恨むでしょう?
それなら、いっそ…
「ご主人様、お願いがございます―」
少しの幸せを、思い出せる今のうちに――
緑の光を浴びて、私は冷たくなって行った。
リリー、アナタの愛した子は素敵な子になるわ。
だって貴女は、セブルスの愛をその身にずっと受けていたのだから。
妬んでしまって、ごめんなさい。
重ならない、永久に
彼女は知らない。
愛した女性と、愛してる女性の亡骸を抱き
後悔に震える、1人の男の存在など。
冷たくなり、手を取り合う2人
そこには、過去のいがみ合いなど
存在しなかった。
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