私の旦那様!


いつもいい子でいた。
誰からでも愛されるように、誰からでも頼ってもらえるように。
優等生でいることに義務感と少しの窮屈さを感じていた。

「こんなとこでまた勉強してるのかよ」

「ブラック…」

「レギュラスと混同するだろ。シリウスって呼べって何度も言ってるだろうが」

「あはは、ごめん」

少し勉強に疲れたこと後ろからシリウスが声をかけてきた。

「シリウスー!ユウカいたー?」

「おー!ジェームス、こっちだ」

いつもの彼のお友達がこっちに向かってくる。どうやら私は探されていたようだ。

「こんなに勉強してたのかい?さすがに疲れちゃうよ」

リーマスは苦笑し私の教科書を閉じた。
この人たちが集まれば私の勉強時間は強制的に中止となる。

「今日はどこに連れて行ってくれるの?」

彼らと出会うまでは本の虫で、誰かが困っていたら助ける、そうやって人のためだけにいい顔していたが、今では彼らとちょっとしたイタズラをするのが少し楽しみになっていた。

「そうだなぁ…ちょっとついてきてくれよ」

ジェームスに手を引かれ学園の敷地内の花が咲くところに連れて行かれた。今は丁度バラの花が満開で、この時期は媚薬を作る生徒が多い、と確か先生にくぎを刺されたばかりだ。

「なぁユウカ」

「え?」

少しの緊張をしていると彼らはバラの花の中に立ち、こっちに手を差し伸べた。

「もし、もしこの中で誰かを旦那とするなら、ユウカは誰の手を取る?」

リーマスが楽しそうに笑う。
急なことにぱちくりと瞬きをしてしまうと、彼らは笑った。

「はは!冗談さ、でもそれくらい選ぶ権利はユウカにあるぜ」

シリウスがクシャ、と私の頭を撫でる。
彼らがいるといろんなことに出会えて楽しい。その気持ちが胸の中に染み渡る。

「もし私が旦那に選ぶなら…みーんな!選んじゃおっかな!」

そう言って私が笑えば彼らも楽しそうに笑う。

きっと私たちはこうやってふざけ合いながらここを卒業して、それで楽しい未来を過ごすんだ。

―――でも、今が一番幸せ。本当だよ。

END


×
nanoへのご支援
- ナノ -