03

この日が来た!
荷物の入ったトランクを眺める。
私はわくわくそわそわしていた。
だって今日、ホグワーツへ私は行くのだから!
教科書でしょ、杖、制服、それからお母さまにおねだりしたペットの猫!名前はないけども、みゃーちゃんって呼んでいるの。みゃーちゃんはさっきから私の足の回りでうろうろしてるけど、それ以上に私の方がうろうろしてる。
キングズ・クロス駅を11時発の汽車。間違わないようにお兄様に着いていかなきゃ。


「そわそわしすぎだ、カリーナ」


呆れたようにお兄様が私の肩に手をやり止める。


「だってお兄様、私、わくわくが止まらないんです!」


たぶん、今までで一番いい笑顔だと思う。それくらいの笑顔でお兄様に答えると、溜息をつきながらも少し顔が綻んでいた。


「父上にまたなにか言われるぞ」


「その時はお母様のところに行きます」


最近ではお父様はお母様に弱いところがある、ってことも学んで、お父様にいろいろ言われそうになったらお母様のところに言って甘えることも多くなった。
今まではスクイブだったら、って不安が大きくてお母様のところにも行けなかったけど、私だって魔法族なんだって安心したら、いっぱいお母様やお父様に甘えれるようになった。少しだけど、自分に自信がついた。そんな感じ。


「ふふ、カリーナ、こっちまで聞こえてますよ」


「お母様!」


パタパタと走りお母様に抱き着くと「こらこら」なんて優しく言いながら抱き留めてくれた。
お母様もこうやって私が抱き着いたりするの嬉しいのか、いつも微笑んで抱き留めてくれる。


「カリーナ、またナルシッサのところにいたのか」


「お父様!」


お父様がやってきたからお父様のところに行ってぎゅうって抱き着くと頭を優しく撫でてくれた。


「今日からホグワーツに通うのだから、ドラコにあまり迷惑をかけてはならんぞ」


「はい、お父様」


厳しい口調なのに、顔が優しいから全然怖くない。
むしろお父様の愛情で心がほくほくだ。


「そろそろ時間だな。荷物を持ってきなさい」


「「はい」」





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