あれから数日が立った。
それから、東宮さんはすぐに転校をし、この氷帝学園を去った。
『…ざくろ…』
『ざくろさん…ほんと、ごめん…』
あの日。あれからレギュラーは練習どころじゃなくなってしまって、皆落ち込んでしまった。
都大会も近いのに、このままじゃ、とは思ったんだけど、向日先輩に鳳くん、忍足先輩が梃子でも動かなかった。
『…もう、いいです。皆さんがわかってくれたら、それで』
暗い顔の皆が、いつまでもぐじぐじ言うから、少し私も滅入ってしまった。
『私、皆さんと居るのは、やっぱり怖いです。
でも優しい皆さんを知ってるから、私はここでまだ頑張っていきたいんです。
マイナスになったものが、プラスになるのはまだ先になるかもしれません。
だから、また、ここから、やり直していきましょう』
もう、あの頃に戻らなくてもいいように。
―――――――――――
あれから、全員が練習に再び力を入れだした。
萩先輩も、侑士先輩も、亮先輩も前以上に。
大会が近い時期の引き締まった空気につい笑顔が零れる。
「何笑ってんだざくろ」
「お兄ちゃん!」
お兄ちゃんも今ではすっきりした顔で部活に臨んでいる。
いっぱい迷惑かけた分、私も頑張ってサポートしなきゃね。
「ざくろちゃん、ムリしないようにね」
そう言っていつものように頭を撫でてくれる萩先輩に笑顔を返す。
「なんや、滝が今んとこ一歩リードやな」
「アーン?滝はお前とは根元から違うからだろ」
「…ま、負ける気はさらっさらないんやけどな」
風が吹いても
雨に打たれても
私はまた、咲き場所を見つけます。
「集合!!」
大好きなこの場所で。
End.