#020
放課後。
6時間目にお兄ちゃんたちとネット張りをして(お兄ちゃんがしているということが一番違和感だった)2人と別れ準備をした。
部活開始時間に近付くにつれ、増えていく部員。
擦れ違う皆一人一人に挨拶をしながら準備を進める。
先程出来たレギュラーと準レギュラーの対戦表をポケットにしまい、洗濯を始めた。
休みの日に比べれば少ないけれど、やはり部員数の関係でたくさんのタオルが洗濯に出されている。
昼に洗濯していたもので乾いていたのを取り込み、次のを干す。
そうこうしているうちに、お兄ちゃんの「集合!」の声が聞こえ、私も急いでコートに向かう。


「今日は先週に言っていたように時間の許す限り、レギュラー内、及び準レギュラー内の練習試合を行う。マネージャーは対戦表を」


お兄ちゃんに言われて、対戦表を準レギュラーの分を配る。


「多分全員名前あると思いますが、万が一忘れられていたら言ってくださーい」


「なんだよ、その扱いー!」


「いやだな、何人居ると思ってるんですか準レギュラー」


そんな軽いやり取りをしていると、レギュラー側からは不穏な空気が流れていた。


「日吉くん、向こうどうかしたの?」


「あのマネージャーが表を作っていないらしくて、跡部さんが怒っているだけだ」


「あらー…」


確かに事前に言っていたから、準備していないマネージャーに非があるのは一目瞭然。
それなのに、レギュラーは東宮さんを庇って、私に苛められているから仕方ない、とか言い出しているらしい。
大会前にこれ以上練習時間を削られるわけにもいかないし、私は一つ溜息を吐いて、お兄ちゃんの所に行った。


「景吾先輩」


「ああ、ざくろか。どうした?」


お兄ちゃんが私を名前で呼ぶと、東宮さんの方からすごく視線を感じた。
…昨日まで苗字呼びだったもんね。仕方ないよ。


「余計なお世話かと思いますが、私がつい癖で作ってしまった対戦表ならありますよ」


そう言えば、悔しそうに表情を歪める彼女。
…その表情、他の先輩の前でもやるのかな…。


私はレギュラーの小言を聞きたくなくてその場を離れる。
準レギュラーの試合を開始してもらい、平部員のメンバーにスコア付けを頼んでドリンクやタオルの準備に走った。






試合も終盤に近付くと、何処のコートも白熱を極めていた。
レギュラーコートではお兄ちゃんと忍足先輩が。
準レギュラーコートでは、日吉くんの何人抜きが出来るかで賭け…ってちょっと待って。


「柏木先輩何してるんですか」


「げっ神田ちゃん…」


先度試合の終わった先輩にドリンクとタオルを渡しながら声を掛けた。


「後輩で遊ばないであげてくださいね」


「はいはーい」


先輩はそれに返事をすると、日吉くんの試合を見に行った。






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