ここはーどーこーなーのーっ
…そう、寝室へと行こうとしたのだよ、私は。
扉を開け一歩踏み出すと、スリッパ越しに感じる砂を踏むような感触。
(え、砂…?)
恐る恐る下を見ると雑草が生えた地面。
見間違えかと思い、目を擦ってみても変わらない景色。
…本の読み過ぎで疲れてるのかな…。
そう思って、とりあえずリビングに戻ろうと踵を返すと、其処に在る筈のドアが見当たらない。
な ん で !
「どうなってんのよ…」
力が抜け、へなへなとその場に座り込む。
軽く絶望を感じていると、少し遠くから足音が聞こえてきた。
藁にでも縋りたい心境の中、近づいてくるその足音に耳を澄ませた。
(あれ…?)
其処には見覚えのあるような気がしないでもない、プラチナブロンドの髪の男と、黒髪の男とが此方に向かっているのが見えた。
(え、なんかヤバそうな感じじゃない?)
私を視界に捉えたであろう瞬間、驚いた表情の2人と、何かが割れるような音。
それと同時に体が歪むような、気持ち悪い感覚。…あれ、なんか似たようなこと書いてなかったっけ、本で。
なんて思っていたら、尻から落ちた。
何かの上に落ちたらしく、そこまで痛みは無かったのだけれども、なんだか嫌な予感がする。
微かに聞こえた呻きに、なんだか聞き覚えがあるんだもん!
そう思いながら、恐る恐る(あの外の感覚を感じた時以上に、だ)声のした方を見ると、
「ヴォルデモート卿…」
映画より少し若いくらいの、青筋を顔に浮かべた俺様卿がいらっしゃいました。
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