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スローモーションの世界。
高いブレーキ音。近付くトラック。
避けれない、と直感的に感じて、自分の運命を呪った。
あー…―本当ついてない。
やりたいこともいっぱいあったし、いやでもなんかどうでもいいや、なんて思ってたから、ちょうど良かったのかもしれない。
お茶酌んで、書類コピーして、上司に愛想振り撒いて、彼氏には振られて、お気に入りの赤のヒールは折れた。
まったく、今日は厄日だな、そう思って、目を閉じた。
来る、衝撃とこの世界への別れを覚悟して。
耳についたのは、悲鳴と誰かの手招きする声。
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