いつものベンチに座る。
遠いアナタは私のそばには来てはくれない。
アナタの…空目恭也の隣には、違和感の無いくらい自然と溶け込んだあの子。
私なんかじゃなくて、アヤメちゃんが。
この世界の人間のはずなのに、恭也はいつの間にか、アチラの人のように、この世界じゃ異質。


「また此処に居たのか」


「俊也…」


いつの間にか私の後ろに立っていた俊也に、少しの安堵感と寂しさ。
こうやって気付いてくれればいいのに。


彼女…あやめちゃんと一緒に居るときの空目は酷く危うい。
きちんと目を凝らして見ていないと、すぐに気配が消えてしまう。
…いや、正確には視界から消えてしまうというだけで、微かに香る空目の匂いで、すぐに認識することができる。


「あーあ…そんなにあの子が魅力的なんかなぁ…」


「名前…」


「ごめん、しばらくひとりにさせてくれないかな…?」


言葉にするとダメージは大きくて、零れそうな涙を必死に留める。
そんなあたしに気付いてか、俊也は優しく頭を撫でてから離れていった。


「ああ、もう…」
そっと死んでおいて

(伝わらない、伝えられない
  この思いなんて)


ずっとずっと貴方を想う気持ちは変わらないから
そっと、ばれないように。
また表面を作り直すわ


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