何も変わらず佇んでいる。

また、か。なんて諦めモード。

あなたの愛がこっちを向かないだなんて。

それでも、私があなたを愛しているだなんて。



図書室からの帰り、いつも通らない道を通ったからかな。
見たくもない現場に遭遇した。


―目の前にはしなだれかかる女と髪を撫でる男。


何も関係がない男女ならば、こんなにも気にならなかった。
でも、男の方は私の彼氏…シリウスで。
付き合いだしてもう幾度となく見かけたから、一々泣くことも無くなった。


「はぁ…」


溜め息一つ零して踵を返す。
そろそろ潮時なのかな、なんて思いながら寮へと戻る。



私とシリウスが付き合ったのは、その場の流れみたいなものだった。
勿論、私はシリウスのことを好きだったわけで告白された時は泣いて喜んだ。
ジェームズたちにも祝福され、その時が一番幸せだったように思う。

それから、ひと月。
少しずつ少しずつすれ違いが増え、ちょっとした衝突も増えてきた。
それと同時に、彼も冷たくなっていった。

そんなある日、偶々だった。
シリウスが、レイブンクローの子と歩いているのを見たのは。
それは、ちょっと前の私たちのようで。
私に気付いたシリウスの冷たい視線も覚えているし、凍りついたように動かない私の体も覚えている。

あのあと、食事も出来ないほどに泣いた。
リーマスが心配そうに見ていて、ピーターにいたっては泣きそうな顔をしていた。


「名前、大丈夫?」


「ありがとう、ピーター。リーマスも、心配かけてごめんね」


「名前が大丈夫なら、いいんだ」


そう言いながらいつもはくれないチョコをくれたのを覚えている。



あれからどれだけの時間が経っただろう。
気がつけば麻痺してしまった私は、彼に向き合うことを止めてしまった。
過去に思いを馳せていると、談話室にはピーターとリーマスが。


「あれ、ジェームズは?」


「ジェームズならリリーのところだよ」


「まったく、諦め悪い男ね」


そう言えば、苦笑をする2人に気付かれないようにそっと、私もか、と呟く。
2人のそばに行けば再び開かれる談話室のドア。
そこにはシリウスがいて、少し驚いてしまった。
だって、あの様子じゃまだ帰ってこないものだと思っていたから。


「あら、もう帰ってきたんだね」


「あ、あぁ…」


歯切れの悪い返しに疑問符を浮かべる。


「シリウス、ちゃんと話したがいいんじゃない?」


「話す?」


リーマスが言う言葉の意味がわからない。


「名前も、話、しなきゃ」


ピーターがいつも以上に強い目で見るから、怯んでしまった。


でも、今冷静に話なんて聞けない


そう思って、腰を上げる。


「悪いけど、今そんな余裕無いから」


そう言って談話室を後にした。

ねぇ、その話は私にどう影響するの?

はぐれフラミンゴ

(俺が愛してるのはお前だけ)
(ただ、妬いてほしいだけ)

(また前みたいに愛を囁いてほしい)
(それだけ、なのに)


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