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 君と笑いたい

君から笑顔が抜け落ちて、いつのまにか時間だけが過ぎていった。
あんなにも、笑いあっていたのに、ね。
あの表情(顔)はもう、見ることができないのかな。




帝光中バスケ部。

黄金時代とも言われ、不敗を誇るこの部のマネージャーである私は少し、冷めた目をしていたかもしれない。
今のメンバーで築き上げた栄光は、外から見れば輝かしくも、内側は錆びていたような気がする。

「ダメ、ね」


私が見たかったのは、こういうのじゃないの。


「リュカちん…」


「桃のせいじゃないわ、ただ…」


ただ、私が物足りないだけ。
それだけ。




私がこの部に入ったのは輝くアナタがいたから。
青峰大輝、バスケ部のエースだ。
彼は普段飄々としていて、掴みどころがないのに、たまたま見かけた部活をしているその姿に、惚れてしまった。


「かっこいい…」


誰に向けるでもなく、零れた言葉もときめく心も全部彼へと向かっていった。


それから毎日練習を見に行くようになり、3年の時にはマネージャーになった。
そして、


「好きかもしんねぇ…」


素直になれない大輝が、顔を真っ赤にして言ったあの言葉を、私は今でも覚えてる。


「私、大輝が好きだよ」


嬉しくて、嬉しくて。少し泣きながら言えば大輝はバスケしてる時くらいの輝いた顔をしていて、すごく幸せだった。


それからは、部活も恋も順調だったはずだった。




まず変わってしまったのは、大輝の方。
才能が開花すると同時に、やる気がなくなっていった。
それに、笑わなく、なった。
どうしたの?なんて、そんなわかりきったこと聞けるはずもなくて、どうすればいいかわからなかった。
桃に聞いても、わからなかったし、他のメンバーに聞くなんてできないし。
いつのまにか、私と大輝の間に溝が出来てしまったんだ。


「リュカ、悪ぃんだけど、」


「、別れる?」


「あぁ…」


俯く彼にどうしようもなくて、わかった、ってだけ伝えて最後に、と思って頭を包むように優しく抱きしめた。


「お疲れ様、でした」


泣きそうだったけど、多分それ以上に大輝の方が泣きそうだった。
もしかしたら、もう泣いていたかもしれない。
だけど私はそれに気付かないフリをして、アナタに背を向けた。

願わくば、またどこかで
君といたい


(次に会うときは、笑いあえるように)



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