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 you and me

いつからだったかな
君の笑顔が偽物になったのは。

大人な君だから
誰にも、気付かせてないつもりなんでしょ?

その笑顔が、私は辛いよ。

ねぇ…こっちを見て
 


「ナミすぁああ〜んっロビンちゅああ〜んリュカちゅああ〜ん!!ティータイムのお時間です」


「あら、ありがとうサンジくん。そこに置いといて」


「了解ですナミさ〜ん」


いつものようにメロリーンってしながら紅茶を持ってくるサンジ。
いつでもナミが一番で私はそれが、少し羨ましくて、とっても辛かった。


でもそんなこと、誰にも言えない。


仲の良いこの船だから、それを壊すようなことできない。




…なんて、かっこつけてみても、本当は私が怖いだけ。
気持ち伝えるなんてできなくて、臆病者の私は俯くしかできない。


「どうしたのリュカ?最近あなた元気無いわよ?」


「そうかな…。いつも通りだよ」


「そう?それならいいんだけど…」


答える私は震えてないかしら。
まだまだ、子供な私には君みたいに上手に振る舞えない。
「航海士さん、ちょっとリュカ借りるわ」


ロビンに声をかけられて席を立った。



連れてこられたのは、ロビンがよく利用する図書室。
壁際にあるソファーに腰掛ける彼女の横に促されるまま座った。


「リュカ、あなた我慢のし過ぎよ」


横から優しく抱きしめてくれるロビンは、私のことお見通しだったみたい。


「ロビン…っ!!」


ぎゅぅって抱きつけば優しく頭を撫でられて、我慢してた涙が一気に流れていった。

「私…っ、私ね…っ!!」


全部、全部知ってたの。






いつだったかな、そんな遠くないちょっと前。
辿り着いた島での買い物を終えてサンジと帰ってきたら、船番していたゾロと、出掛けたはずのナミが寄り添っていたの。
その前までは、ちょっと怪しいな、ってぐらいだったのに、決定的な瞬間を見てしまったの。


「ははっ…」


今でも、覚えてるよ。
あの時のサンジの酷く乾いた笑い声。
必死に作ろうってしてる表情。


「行こう、リュカちゃん」


いつもみたいに振る舞ってるつもりのサンジ。
でも、私の背に添えた手が震えててサンジがいかに本気だったかがわかったの。

それから、サンジが本当に笑うことが無くなったんだ。





…どこまで話したんだろう。
泣きながらだったから、きっとロビンを困らせてしまったかもしれない。
気がつくと、私は泣き疲れ眠ってしまっていた。


「あら、目が覚めたの?リュカ」


「あ…ロビン…その…」


「ふふ…大丈夫。あなたが眠ってから10分も経ってないわ」


そう言って優しく微笑むロビンに、姉がいたらこんな感じなのかな、って思った。


「ありがとう…」


なんだか私の中のわだかまりが消えて、少し辛さが無くなった、気がした。


まだ、私は子供だから、今すぐにどうこうってはしないしできない。



でも、あなたと向き合えたら、
この気持ちを受け取ってもらえますか?
 
END



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