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あれから、シリウスとは話をしていない。
目が合っても、自然に逸らされ、まるで赤の他人のような態度を取られる。
そのことが少しずつ、私の中で不安と後悔と、泣きたい気持ちが積もっていった。
それと同時に、どことなく黒い感情も渦巻いている。
――なんで私が
――私ばっかりこんな
スリザリンでも気づいてたら少し浮いていた。周りに嘲笑されてるようなそんな感覚に襲われるようになった。
「……鈴香ちゃん…?」
誰かに名前を呼ばれたような気がした。
気がしただけで、確認はしなかった。なんだか懐かしいような声だったけど、今の私に話しかける人なんて、いないのだから。
視界が下がる。
泥沼につかっていくような感覚がしながらも、抜け出せない。
ねえシリウス。苦しいよ。
そんなのも言えないまま、誰にも言えないまま、日々を重ねた。
『主、主』
「何、廉」
『ご主人様、気を付けてくださいね』
私の力が不安定になると、この子達は急に現れる。
何に、気を付けろっていうの?
もう私には、何も、ない。というのに。