回る、廻る
08
その日、スリザリン寮は異様な興奮に包まれていた。
異様な緊張とも言えるような、興奮というような、落ち着きのない空気が談話室から感じ取れた。

「今日何かあったっけ・・・」

「貴女本当に言ってるの?」

呆れた声で言ってくるリディアさんは視線も呆れてた。

「今日はスリザリンのクィディッチ杯だからに決まってるじゃない。あの忌まわしきグリフィンドールを叩きのめすのです!我が寮は!」

なんかいつにも増して攻撃的なリディアさんにちょっと後退り。
飛行の授業でクィディッチについての説明も軽くあったけど、見たこともないし、本で見てもまったくイメージわかなくてちんぷんかんぷん、って感じだった。
見てみれば、変わるのかなぁ・・・。
そんなことを思いながらほかの寮生に連れて行かれてクィディッチ会場へと向かった。


会場に着くと、すごい熱気に包まれてた。
談話室もそうだけど会場ともくればもうそれは何十倍、何百倍のレベルだ。
グリフィンドールの旗とスリザリンの旗がはためき、たくさんの歓声が響き合っている。
詳しく知らない私でも、胸が高鳴り、気分が高揚していくのを感じた。

「出てくるぞ!」

誰とも知らないスリザリン生が大声で言う。
彼がオペラグラスで見つめる先、そこにはスリザリンのクィディッチ選手が勢いよく飛び出してきた。
周りの人たちは各々にメンバーの名前を叫ぶ。
誰ひとりとして知らない私は1人、取り残されているような感覚に陥った。
次いで出てくるグリフィンドール生。勿論こちらにも知ってる選手など誰ひとりいない。
そしてこちら側から聞こえるのはとてつもなく大きなブーイング。おおおお・・・そこまでグリフィンドールが憎いか。すごいな。私この時点で疲れました。
よっこいせ、なんて思いながら席に座りフィールドを眺める。
両チーム選手が出揃ったらしく緊張感が走っていた。
ここからじゃ見えないけど、どうやら今スニッチが放たれたらしい、シーカーの二人が何かを目で追う素振りを見せている。
それからしばらくして、クアッフルが放たれた。
先にボールを取ったのはスリザリン・・・・ってだいぶ荒っぽい取り方ね・・・怪我しないのかしら。それとも それ が目的だったのかしら。

それから一進一退の攻防戦を見るにつれて私のテンションも上がってきた。
最初はなんて荒っぽいスポーツなのだろう、と思ってたけどだんだんそれも作戦で、選手も捨て身覚悟なところがあるように見えた。

それでも、惹きつけられていくのは何故だろう。
ゲームが進むにつれて私も周りの空気に感化されてなのか、だんだん熱が上がって目の前のゲームに集中する。
荒っぽいと思ってた試合がこんなに白熱したものに見えるなんて!
アナウンスを聞く限りどうやらスリザリンが勝ってるらしく周りと一緒になって歓声を上げる。
相手がグリフィンドールだということも忘れて自分のチームに肩入れしてる。


「スリザリンがスニッチを取った!スリザリンの勝利!!!」


「〜〜〜〜〜!!!!」


周りが歓喜の渦にのまれる。
私も周りのスリザリン生と抱き合い喜びを分かち合った。

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