05
「はろう、うぃーん?」
「正確にはハロウィーンね。あなたの国にはなかったの?」
「んー・・・国にはあったのかも・・・私の家には、なかった」
暦の上では10月。それも末。
少し明るい雰囲気、それになぜかちょこちょこ見かけるおっきいかぼちゃ。それも日本でよく見る緑のやつじゃなくて鮮やかなオレンジ色のやつ。
中には顔より大きいものとかもあって一体何に使うのかしら、なんて思っていたり。
「ほんと鈴香は何も知らないのね。箱入り娘、ってやつなのかしら」
呆れたように言うジュリエッタに苦笑いをこぼす。
本当に私はつい最近までこちらの国の文化なんて知らなかったなのだから。
最近ではお米が恋しいな、って思うくらいです。
そんな事を思っているとジュリエッタはどこからともなく大きめのオレンジかぼちゃを2つ持ってきた。
「これ、何?」
「これは、ジャック・オー・ランタンっていって、かぼちゃに顔を書いてそれを切り抜いて中にキャンドルを入れるの」
「・・・それはかぼちゃが燃えるんじゃ・・・」
「・・・あんた成績はいいのに馬鹿ね」
再び呆れた顔をするジュリエッタにちょっとムッとしながらもジャック・オー・ランタンの作りかたを習った。
「これは・・・難しそうね・・・」
「簡単よ。ほらやってみなさい」
そう言って下書きするために羽ペンを渡された。