回る、廻る
04
リーマスと一頻り笑い合って、私は先に図書室を出た。
気分も上々。このまま何も考えずに寝たいわー。なんて思いながら。

「ちょっと鈴香」

「ぅげ・・・・」

そんな上々気分を打ち壊すイヤーな声が。

「聞こえてますの?鈴香」

「なんかようですか・・・えーっとリディアさん?」

スリザリンの上級生で陰気で嫌味な性格な残念系美人さん、リディアさん。ファミリーネームなんて覚えてない。
そして呼び止められたことでさっきまでの楽しかった気分も急降下。あーあ。いい夢見て静かに眠る私の計画が・・・。

「また貴女はあんなグリフィンドールなんかの野蛮の人と話などして・・・もっとスリザリン生であることに誇りと自覚を持ってもらいたいものですね。ただでさえ、あのシリウス・ブラックのことで良い印象のないブラック家の唯一の−」

うんたらかんたら。
このあと長々とほぼノンブレスで話し続けたリディアさんにはすごいな、って思った。
崇高なるスリザリン生がどうの言い出したあたりから全く記憶がないけど。目を開けて寝てたかもしれない。私って器用。

「聞いているの!?」

「あーはいはい。スリザリン生として自覚を持って行動したいと思います」

ここ最近で精神的に強くなったかもしれない、なんて思ってリディアさんの話を終わらせて寮室に戻る。
入ったばかりの頃は緊張と不安で少しどころかかなりおとなしくしてたけれども、シリウスたちの馬鹿らしい行動とか見てたら少しハメを外してもいいのかな、なんて思ったりして。
少しずつ少しずつ自分の変化も自覚できるくらいには余裕が出来てきた。

「またリディアさん怒らせたのね」

「あらジュリエッタもこの間怒られたばかりじゃない」

部屋に戻るとすぐそう突っかかってきたジュリエッタを軽く流す。
ジュリエッタもつい最近できた恋人がマグル出のレイブンクロー生ということで散々怒られ、嫌味を言われたばかり。
そう考えるとこの部屋は少しばかりマシなのかもしれない。
スリザリンらしくない人たちの集まり、になりつつあるのだから。

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