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それから食事も終え一息つくと、肩をトントン、と2度ほど叩かれた。
不思議に思いながら後ろを向くと、そこにはプラチナブロンドの髪をサイドに流して束ねた顔の整った男の人がいた。
「隣、いいかね?」
そう聞くと先輩(…だと思う)は、セブルスがいる方と反対をちらりと見た。
あの厭味ったらしい、鼻にかかる喋り方をする先輩は、今来た先輩を一瞥すると慌てて席を立った。
その様子に、彼がこの寮での権力者であることが分かる。
「まずは、入学おめでとう。私はスリザリン寮の監督生をしているルシウス・マルフォイだ」
「あ、はじめまして、鈴香・ブラックです…」
セブルスにも挨拶が行くのかと思えば、ルシウス先輩の視線は私から逸れることなく、こちらを見たままだった。
「この寮の空気はもう、つかめたかね?」
そう尋ねるルシウス先輩は監督生らしい空気を身にまとっていて、先輩としての見本のようだった。
「…まだ、そうつかめてはいませんが、先輩のような素敵な方に恵まれてとても幸せに思いますよ」
そう返しながら微笑めば、向こうも僅かに微笑み返す。
その瞬間に近くに座っている女子の先輩方の視線が厳しくなったが、そこは敢えてスルーしよう。
「君も、スリザリンの名誉ある寮生だ…頑張ってくれ」
「ありがとうございます。ルシウス先輩」
…要するに。もうスリザリンの看板背負ってるんだから、点数を下げるようなことはするなよ、ってことかしら。
んー、忠告に来ただけ?それとも、私がブラック家の人間であるという確証を持って接してきているのかしら…。
…そこまで考えて、めんどくさくなって思考を放棄した。