10
女史の後に続いて(名前は聞くの忘れた)、新入生がぞろぞろと付いていく。
私も、シリウスたちと一緒に大広間の中を興味津津!って状態を隠せずにきょろきょろ見回していた。
「すごー…」
天井を見て感慨深げに呟くピーターに同調するように頷く。
これは魔法だとしても、すごい完成度だ。
荒れ狂う空を写した天井は先程までの環境と一緒で。あの光る稲光は、今にもこちらに落ちてきそう。
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか止まっていたのに気づかずに、前を歩く男の子にぶつかった。
「あ、すみません」
「いや、大丈夫だ」
そうこちらを見て答えた少年は、黒い髪に黒い瞳、その吸い込まれそうな瞳に、私の時間が一瞬止まった。
「鈴香はほんとたまに抜けてるよな!」
そう言って私の肩を組んで笑うジェームズに、少し頬を膨らませる。
そんなつもりはないのだ。個人的には、シリウスよりもしっかりしてるつもりである。
「あ、その顔は納得してないな!」
そう言っていたずらに笑うジェームズとシリウス。その後ろでリーマスも口を抑えて笑ってる。
「もう!皆して…」
そうやって拗ねれば、皆口を揃えて謝ってきた。なぜか、笑ってないピーターまで…。