07
「よーし、鈴香も大丈夫そうだし、そろそろ行くかー」
ジェームズがそう言って先頭を歩き、先程からなにか聞き取りにくい言葉を発している男の方に向かう。
「シリウス、あの人、なんて言っているの?」
「あー、鈴香はネイティブしか聞き取れないのか、一年は集まれって言ってんだよ」
「そうなの?ごめんね」
周りの人の発音が綺麗だったから、と言うのもあるかもしれないけれど、あの大柄な男の人が発している言葉は、少し聞き取り辛いな。
「どういうこと?」
ピーターが不思議そうな顔をしてこちらを見る。
「えっと、私、ちょっと諸事情があって、ブラック家の養子なんだ」
「あ、そうなの…なんか、ごめんね」
「ピーターが気にすることじゃないよ」
申し訳無さそうにするピーターにそう答えて、シリウスの隣に並んで進んだ。