05
列車が止まり、ホグワーツに着いたことを告げる声がする。
列車の中と外が人の気配でいっぱいになり、いろんな声がする。
――苦手、だな。
少し煩わしく感じていると、それに気付いたシリウスが頭を軽く撫でてきた。
「落ち着けよ」
そう言う時の顔は本当の兄のようで、少しずつ私も落ち着きを取り戻していた。
「シリウスー、どうかしたのか?」
先に降りていたジェームズがコンパートメントの窓から覗き込む。
「大丈夫だ。鈴香と行くから先に行っておいてくれ」
そのシリウスの言葉に頷いて答え、ジェームズは行ったようだ。
「…迷惑、かけた?」
「いや、大丈夫だ。お前が気にすることではない」
そう言って、私の手を握って一緒に列車を降りた。