回る、廻る
01
あれから数日時が経った。
シリウスにホグワーツとかいう、今度入学する学校について教えてもらったり、魔法をお母様に習ったり、充実した日を過ごした。
まぁ、その話の途中、シリウスがこの“ブラック”家に対して不満があるのもちょこちょこ聞いていた。
ダイアゴン横丁とかいうところに学用品を買いにシリウスと行こうと思ったら、お母様に却下された。


「もし鈴香に何かあったらどうするの!シリウス、レギュラスと買ってきてちょうだい」


だった。
あの時のシリウスとレギュラスの呆れた顔は忘れられません。いや、私も少し呆れてたんだけど…。
まぁ、そんなこともあって、漸く久々に家から出してもらうことができた。
…まぁ、ホグワーツに行くからなんだけど。


そんなこんなで、キングズクロス駅です。お母様とレギュラスはお見送りに来てくれました。
あ、お父様はお仕事のようです。なんか、リドル?とかいう人に呼ばれたからどうの、って文句を言ってた。
駅の柱に人が吸い込まれていくように消えるその様子は本当に異様だ。
うっかり目を瞑ってしまう。


「シリウス、鈴香に何も無いよう、くれぐれも頼みますよ」


ホグワーツ行きの列車に乗りながら、お母様がシリウスに言った。


「…わかってる」


最近、シリウスはお母様へ冷たくなった。
段々、この家に嫌気が差し出したのかな…。私にとっては大事な家族でも、彼からしたら違うのかもしれない。


「行ってきます、お母様」


ぎゅう、とお母様に抱きつけば、頬にキスをしてもらった。


「何かあったら梟を飛ばすのですよ」


「わかっています」


お母様と離れレギュラスに抱きつく。レギュラスも、普段なら離れようとするんだけれど、今日だけは素直に甘えてきた。


「次の休暇には、帰ってくるからね」


「…わかりました。待ってます」


いつになく素直なレギュラスを強く抱きしめると、後ろから名前を呼ばれた。


「そろそろ行くぞ」


「待ってよ、シリウス!」


もう既に列車に乗り込んでいるシリウスを追いかけて、私も乗り込んだ。
扉のところで振り返り、2人に手を振ると、お母様もレギュラスも振り返してくれた。
…早くもホームシックになりそう。


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