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全てを話すと、レギュラスくんは黙って内容を整理しているようだった。
そしてやっぱり、沈黙が重たいです…うん…。
「大体はわかりました。スピカさんのことも、話には聞いていましたので」
なんでも、母はこの家を飛び出した、所謂“血を裏切るもの”だったらしく、名前は既に焼かれてしまっているのだけれど、オリオンさん…つまりお父様は影でとても心配していたらしい。
それで、家が襲われたことを知って、“藤堂の娘”つまり私が生き残って身寄りが無いことを知るとお母様にだけ話してホグワーツへと急いで向かった…というのだ。
「ですから、貴女はれっきとしたブラック家の人間、ということですね」
小さく息を吐き、彼は扉に寄りかかった。
「まぁ、僕としても貴女みたいな方が姉弟になる分には、何も否定はしませんよ」
そう言って微笑む彼に、漸く重苦しい空気が霧散していった。
「よろしくお願いします、姉さん」
「ふふ…よろしくね、レギュラス」
差し出された手を握り、これからのことが、少しだけ楽しみになったような気がした。