第一印象は、大きな体にものいわせて相手を害す、乱暴な男。

 次に会った時は、いつか冒険した城と見紛うほどに、上等な家具を配した上品そうな店で働く姿に驚いた。ジャズと香水の香りが漂う店内で、いかに男性の身体を美しく見せるか考え抜かれたデザインの寮服をあえて気崩しているのが、とても洒落ているよう感じられた。

 その次は、同居人のユウがアズールと契約を交わした時に再会した。どちらも、それぞれの友人の仲間という敵対関係。彼ら本来の姿である人魚の姿は海の中の絶対的強者として君臨し、哀れな二本脚に海の恐怖と絶望をこれでもかというほど教えてくれた。
 ユウの勝利で決着がついた後は、普通に挨拶や会話をし、稀に昼食を共にするような距離となった。

 彼は制服を指定通りに着用することすら嫌うような束縛嫌いだけれど、均整のとれたスタイルと無駄のない洗練された動作は、どれだけ服を着崩してもなぜかサマになっており、まるで完成品ように見える。

 最終的にフロイド・リーチへの印象は、自分が楽しめるかどうかを重視する、天才肌のとてもオシャレな人魚の男となった。

 対する自分は、異世界のど田舎からやって来た、ロクに着替えすら持たない子どもであった。


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