ユウがいつものメンバーと歩いていると、ジャックと一緒にいるフィリアを見つける。トレーニングするジャックとヴィルの後にひっついて、一緒に走ったり筋トレしている。
 エースがぽつりという。

「フィリアってさぁ、ジャックに一番懐いてるよな」
「確かに。フィリアはジャックを見かけるとすぐに追いかけていくしな」

 デュースも頷く。グリムがニヤリ顔でからかう。

「ユウよりも懐いているかもしれないんだゾ」
「俺はあれはダメ、これはダメってよく叱るからなぁ」

 ハハと笑うユウ。このままサバナクロ―で面倒を見てくれないかとちょっと思って、それを打ち消す。

 そうしているうちに、ユウたちに気づいたフィリアがジャックたちと別れこちらに駆けてきた。ニコニコしてるフィリアへ、エースが先ほどの話題を投げる。フィリアは「ジャックのこと? うん、好きだよ!」と元気に答えた。

「へ、へぇ〜、そーなんだー」

 強がっているが、ナイーブでデリケートな少年たちは恋心はなくとも「それってどれくらい好きなのか。俺のことは何番目に好きなんだろう」なんて、妙に気にした。
 そんな男心なんてこれっぽっちも知らないフィリアは、満面の笑みで続ける。

「ジャックはね、毎朝きちんと訓練するところとか、自分に厳しいところか、とっても真面目ですごく優しいところがテラにそっくりなんだ」
「ジャックが、テラ?」
「あー確か、元の世界で一緒に戦っていた仲間のひとりの……」
「悪者に捕まってるって言ってたヤツか」

 エースがデュースに教えていたがグリムの一言でフィリアの表情が変わる。

「テラ……私たちを守ろうとして、あいつに…………私、助けなくちゃいけないのに、うっ、うううー……」

 あっという間に瞳がうるうる潤んで、ぼろぼろ泣き出す。慌てる三人。

「おいグリム。デリカシーなしかよ」
「お、俺様だけのせいか!?」
「すまない、監督生。頼む」

 困った時は監督生の出番。
 みんながいっせいにユウを見る。おい。さっきジャックの方が懐いてるって言ってただろうが。ジャックを呼べ。

「ほら、おいで。泣かないで」

 内心ため息はきながらも、フィリアをよしよしあやすユウ。いつも面倒だと思いつつも、ぎゅうと服の裾を掴んでくる手を振り払う気にはなれなかった。



R4.12.27


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