食堂にて。

「おい見ろよ、フィリア。今日のデザートは限定こだわりタマゴプリンだゾ!」
「おいしそう。ユウ──ユウ。これ食べてみたい!」
「ん? あ〜……ごめんね、学園長からのおこずかい、昨日ツナ缶いっぱい買っちゃったから足りないんだ」
「ふなっ!? 昨日セールで買っちまったせいか?」
「ぷりん……」
「来月はちゃんとデザート代とっておくから、今回は我慢して」

しょんぼり。すごすごと席を探す。

「ちょうどここがあいてるんだゾ」
「あ? なんだおまえら。しけた顔並べやがって」
「レオナ先輩とラギー先輩。前の席、失礼します」
「あれ? 監督生くんたち三人だけなんて珍しいッスね?」
「エースとデュースは実験で失敗したお片付け中なんだって」
「あーっ! レオナのやつ、こだわりタマゴプリン持ってるんだゾ!」
「あぁ、人気があったからな。ラギーに取ってこさせた」
「いっつも競争率が高いものばっかり頼むんだから……」
「ぷりん……」
「なんだよ? 欲しいのか?」
「一口でいいから、食べてみたいんだゾ」
「フン。食いたきゃ自分で買うんだな」
「あはは……ちょっと金欠でして」

 スプーンですくわれるプリン。レオナの口元へ運ばれてゆくのをじっと見つめる一人と一匹。

「……おい。てめぇらあっちの席へ行け。食いづれぇ」
「すみません。ホラ、見ちゃダメだろ」
「プリン」
「ぷりん」
「………………はぁ〜〜」
「──あ」
「プリン! くれるんだゾ?」
「レオナ先輩、ありがとう!」
「えっ、ウソ、いいんですか?……って、行っちゃった」
「レオナさん。いつもガキは嫌いだって言ってるけど、女の子には優しいッスからね」
「ラギー。余計なことを言ってんじゃねぇ。行くぞ」
「フィリア! 半分はオレ様によこすんだゾ!」
「ユウの分も。三等分だよ」
「(今度からレオナ先輩に何か頼む時にはフィリアを通そう)」




R3.3.13


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