恋人と円満に別れられないことって、あるある。

「何度も言った通り、私はもうヴェントゥスと付き合ってるからムリなの」

 数日前、私にとって元カレとなったロクサスが「一時間だけ話を聞いて」なんてみんなの前で呼び出すものだから、しぶしぶ彼の家までついてゆけば、自室に通された開口一番に復縁を持ちかけられた。

「『私たち別れましょう。はい、サヨウナラ!』で納得できるわけないだろ!?」
「だって……それ以上、上手く言えなかったんだもん」

 ロクサスのことは、正直今も大好きだ。顔、スタイル、運動神経、周囲からの人気、どこをとってもすごく素敵な人だもの。付き合っている時は毎日が幸せで、夢見心地で……けれど……私なりに重大な決心があって彼に別れを告げたのだ。

「ヴェンなんて、俺とそっくりじゃないか! どうして俺じゃダメなんだよ?」

 ロクサスの表情がくしゃりと歪む。そんなに悲しい顔をしないで。罪悪感でこっちも苦しい。
 言うまいと決めていたことだったけれど、やはり言うしかないらしい。


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