新しい服を貰って、ブレイヴフォームを覚えてから、ソラはピンチになる度にそれを活用していた。
 たくさんのハートレスに囲まれ、ドナルドが大けがをしたときだった。グーフィーを呼び、ソラが力を解放する。

「オレに力を――!」

 服が輝き、光の力で周囲のハートレスを吹き飛ばす。黒い服が眩しい赤に染まろうとした瞬間、その姿がどろりと闇色に包まれた。真っ黒な姿になったソラが、手をつきながら地面を駆けて、周囲のハートレスを爪で割き、目にも止まらぬ速さで繰り出される格闘術で潰してゆく。
 あまりの豹変ぶりに、戸惑うことしかできなかった。ハートレスたちはソラの放った闇のオーラの攻撃で、残らず消し飛んでしまったが、未だソラが元に戻る様子はない。
 闇のオーラを立ち昇らせながら、まるでピュアハートレスのように髪も肌も真っ黒で、金色の瞳だけを爛爛としているソラ。ハァハァと荒く息をしているが、ひとことも言葉を発さない。

「そ、ソラ……?」

 ソラはこちらに気がつくと、ジッと食い入るように数秒見つめ、獣のように跳んできた。頭で認識するより先に、押し倒された衝撃に悲鳴をあげていた。
 草むらの上で起き上がろうにも、しっかり押さえつけられている。こんな乱暴なこと、ソラらしくない。

「ソラ! どうしちゃったの?」

 変身の影響か、長く鋭い爪が掴まれた腕にくいこんでくる。力も強く、ビクともしない。
 ソラがくわっと口を開いたとき、鋭い牙が見えた。そのまま首筋に噛みつかれ、痛みに震える。

「いたいっ!」

 食いちぎられはしなかったものの、そのままベロリと舐められたとき、ぴりっとした痛みで血がにじんでいると分かった。



R18 / トップページ


×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -