【1日目】
今日からマスターエラクゥスとテラと行くため、ソラとリクとはお別れ……。
別の任務へ旅立っていった彼らを見送った後、早速私たちも移動するのかと思ったけれど、仲間からの連絡がくるまで待機だって。
マスターエラクゥスはこの場に残って連絡待ちをするから、私は別の任務を片付けるテラについてゆくよう命じられた。
どんなことをするのかしら。
テラは「簡単な任務ですぐに片付ける」、「フィリアに危険が及ぶことはない」と言っていた。
テラの作り出したゲートをくぐると、深い森の中だった。
森の中の小屋には、とても綺麗な女の子と、7人の小人が住んでいた。
テラを見るなり彼らは口々に状況をまくしたててきて……まとめると……
・小人たちはこの世界のヴァンパイアハンターの協力者
・女の子は白雪姫(この国のお姫様だって!)
・女王様はヴァンパイアで、お姫様を殺そうとしているので保護しているみたい
テラがヴァンパイアを倒しに行くと言って、彼らと別れた。
石造りのお城の中は罠だらけ。地上のお城はもぬけの殻だったので、テラが見つけた地下室を探索することに。地下室のほうが本当のお城だったみたい。信じられないほど広い。あと、変な魔物たちがたくさん襲ってきた。剣は出ない。でも銃を撃ってみたら当たって、倒すことができた。
テラから離れないようにしていたつもりだけれど、魔物に押されて壁にぶつかった時、壁が回転してしまい更に下へ転がり落ちてしまって──大きな鏡の前にいた。
目を回している間に、側に誰か来た。黒いローブを纏った美しいヒトだった。女王さま。ターゲットだとすぐにわかった。
つめたい氷のような瞳に睨まれて、体がすくんでいた。動けないままポカンとしていると、彼女は私を見下ろして「憎らしい」と罵ってきた。
「この私より美しい娘はすべて殺さねば──名も知らぬ娘よ、せめて私の美しさの糧となる栄誉をやろう」
赤い口紅を塗った唇からスラっとのぞいたとき、絶対敵わない。殺されるって思った。なのに体は動かない。剣は出ない。逃げることも、銃を構えることすらできない。
細指に顎を持ち上げられたときはもうダメだと思ったけれど、薬品が入ったビーカーが飛んできて、壁にぶつかって割れた音でテラが追いついてきたことに気づいた。
それからは、テラと女王とあの大きな鏡が戦って、テラが勝ったみたい。
私はテラが到着したときに、気絶してしまっていたようだ。
(あとからテラが言うには、女王は直接血を吸わなくても生命力を吸う力があるヴァンパイアだったらしく、私はあの時吸われていたらしい)
意識がハッキリした時には帰路についていて、テラにおんぶされていた。テラから「守り切れずすまなかった」と謝られてしまった。
私は何の役にも立てなかったことが悔しい。キーブレードを出せなかったことが悔しい。必死になれば出ると思ったのに、命の危機でも出せなかった……。ロクサスとナミネと再会するために、なんとかしなくちゃ。
マスターエラクゥスの元へ戻ったけれど、今日は連絡がなかったみたい。
また明日も別の任務の片付けをするらしい。
【走り書き】
夢を見た。ナミネが泣いていて、私にたくさん謝っていた。
助けにいくよ。泣き止んでって言ったけど、聞こえてないみたいでずっと泣いていた。
だから私は無力で、ずっと泣いてるナミネを見てた。
ナミネはいま無事なの? ロクサスと一緒なの?
きおく、くさり、ほどく?
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