ひとりで更新された合成リストを眺めていたときだった。

「えっ、“恋の妙薬”?」

 ポーションとエーテルの下に新たに加えられた、いかにも怪しい薬の名前に目が惹きつけられる。

「試してみれば、どんな薬か分かるクポ」

 恋の薬を試すなんて、なんだかおとぎ話みたい。脳裏に浮かぶ相手を思い浮かべ、ドキドキしながら手持ちの素材を確認する――足りそうだ。
 モーグリブランドの薬だから、きっと人体に危険なものではないはず。そもそも、本当にその名のとおり恋に作用する薬なのかもわからないのだから――。
 それに、いつか究極の剣を開発するためには、少しでも新たな合成を積み重ねていかなければならないし。
 言い訳をたっぷり考えたあと、えぇい! と、素材一式をモーグリ大先生へずずいと差し出した。

「お、お願いします!」

 そうして、ハート型の小瓶に入れられた、いかにもな色をした薬が完成した。ごくりと唾を飲み込んで、とりあえずポケットに忍ばせる。

 悪気のない、ほんのちょっとした興味だったのだ。
 けれど、あんなことになるなんて。




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